by 渡部製作所
Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。
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2/8/2025
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April 20, 2025
<p><strong>🎙️ 宮沢賢治「『注文の多い料理店』序」朗読 – 透明な風と桃色の朝をめぐる、ことばのはじまり。</strong></p><p>『注文の多い料理店』――宮沢賢治が生前に世に送り出した、最初で最後の童話集。<br />その冒頭に置かれた「序」は、作品全体を貫く感受性と、作者のまなざしを静かに伝える短い文章です。<br />このエピソードでは、その「序」の全文を、丁寧な朗読でお届けします。</p><p>この「序」は、いわゆる前書きや解説のような性質のものではなく、<br />読み手に静かに語りかけるような、親密な雰囲気をまとっています。<br />氷砂糖、すきとおった風、桃いろの朝、森の中のびろうど――<br />それらは、どこか現実と夢のあいだにあるような風景として描かれ、<br />物語が生まれた源のような感覚をにじませます。</p><p>賢治は、この本のなかに「わたくしには、そのみわけがよくつきません」と正直に綴ります。<br />ある物語は「あなたのためになる」かもしれず、あるものは「わけのわからないところもある」と。<br />けれども、それでも「どうしてもこんなことがあるようでしかたない」という、<br />切実な思いを、そのまま差し出すように書かれています。</p><p>今回の朗読では、その素朴でやわらかな言葉の流れを大切にしながら、<br />耳にすっとなじむ声でお届けします。<br />ページをめくるのとはまた違うかたちで、<br />「序」のことばのなかにある静かなひかりを感じていただけることでしょう。</p>
April 20, 2025
<p><strong>🎙️ 宮沢賢治『注文の多い料理店』新刊案内 – “心象スケッチ”としての童話集、そのはじまりの言葉</strong></p><p>今回お届けするのは、宮沢賢治の童話集『注文の多い料理店』に寄せて、彼自身が執筆した“新刊案内”の朗読です。<br />この文章は、作品の巻頭に添えられた序文とは異なり、<strong>まだ無名の一青年作家が自らの最初の一冊に託した文学的広告文</strong>。<br />出版当時の読者に宛てて、どんな世界がこの本に詰まっているのか、どんな思いでこの童話集を世に出すのか、静かに、しかし確かな熱をもって綴られた一篇です。</p><p>冒頭、「イーハトヴは一つの地名である」と語り始めるこの文章は、単なる本の紹介文ではありません。<br />それはまるで、読者を<strong>幻想と理想の間にある透明な国土</strong>へと招くような、文学的序詞(プレリュード)のようでもあります。<br />アリスの鏡の国、テパーンタール砂漠、イヴン王国……地理学の地図では見つけられない場所の名を挙げながら、賢治は“イーハトヴ”という内なる宇宙の在処を語り出します。<br />それは彼の心象にのみ存在する日本の一県——けれど、そこでは人は氷雲の上を飛び、蟻と語り、風と影と共に旅をすることさえできる。</p><p>この案内文が語るのは、童話という形式を借りながら、<strong>詩でもあり哲学でもあり、そしてひとつの信仰でもあるような文学</strong>です。<br />「これは正しいものの種子を有し、美しい発芽を待つもの」と賢治は述べ、けっして既成の宗教や倫理の残りかすではないと断言します。<br />それは決してユートピアを語る理想主義でもなければ、子どもを眠らせるだけの空想でもない。<br />再三にわたり“けっして〜ではない”という否定を繰り返す文体のうちに、賢治がいかに<strong>この本に、自分のすべてを賭けていたか</strong>が、じんわりと伝わってきます。</p><p>彼がこの童話集に込めたのは、<strong>「心象スケッチ」</strong>という独自の方法で捉えられた人生の断片です。<br />それは馬鹿げていても、難解であっても、必ず“万人の共通”に届くと信じている。<br />そしてそれこそが、童話という形式が可能にする、最も誠実な文学のかたちなのかもしれません。</p><p>たった一冊の、たった一度の刊行に添えられたこの案内文は、100年の時を経てもなお、読む者、聴く者の胸の奥に静かに届く力を持っています。<br />それはもしかすると、今の私たちがかつてどこかに置き忘れてきた感受性の、微かな呼び声なのかもしれません。</p>
April 13, 2025
<p><strong>📖『オツベルと象』朗読 – 欲とやさしさが交差する、力強くも哀しい物語🐘🏭</strong></p><p>静かに語られる物語の世界へようこそ。<br>今回お届けするのは、宮沢賢治の代表的な寓話のひとつ、『オツベルと象』。</p><p>稲扱き器械が「のんのんのんのん」とけたたましく音を立てる薄暗い仕事場。<br>16人の百姓たちが顔を真っ赤にしながら機械を回し、稲を処理し、藁を投げ、<br>空気はちりと埃で霞み、まるで沙漠のけむりの中にいるかのようです。<br>その中を、黒い背広に琥珀色のパイプをくわえた男——オツベルが、<br>手を背に組み、悠々と歩き回ります。</p><p>彼は町一番の大地主であり、力を持ち、金を持ち、人を支配することに慣れきった男。<br>昼には大きなビフテキやオムレツを腹に収めるその余裕の裏で、<br>周囲の人々はただただ沈黙のうちに、彼の支配に従っています。</p><p>そんなある日、突然現れたのが、一頭の白象。<br>それはペンキを塗ったような見せかけではなく、生まれながらの本物の白象。<br>どこから来たのかもわからず、ふらりと姿を見せたその象に、<br>人々はぎょっとしながらも、関わることを恐れ、目を背けます。</p><p>しかしオツベルは違いました。<br>ちらりと鋭く象を見ては、何気ないふりで歩き続け、やがて声をかけます。</p><p>「ずうっとこっちに居たらどうだい?」</p><p>鶯のように澄んだ声で「居てもいいよ」と答える象。<br>その瞬間から、彼はオツベルの“財産”となります。</p><p>そこから始まるのは、優しさの仮面をかぶった支配と搾取の物語。<br>まっ白な象の背に積み上げられていく重荷、<br>言葉少なに耐え続ける象の姿は、ただの寓話にとどまらず、<br>人が持つ欲と、誰かのやさしさにつけ込んでしまう弱さを、鋭く浮かび上がらせます。</p><p>宮沢賢治の筆致は、どこまでも明快で、力強く、そしてどこか残酷です。<br>韻を踏んだようなリズムのある文章の中に、<br>私たちが見過ごしてしまいがちな「不正」や「孤独」や「誤った優越感」が、<br>鮮やかに、そしてひりひりと描かれています。</p><p>この物語は、ただの勧善懲悪でも、ただの風刺でもありません。<br>無垢なものが搾取される現実と、それでもなお残る希望の兆しが、<br>読む者の胸に強く、深く、余韻を残していきます。</p><p>オツベルと白象。<br>あなたはこの物語のどこに心を動かされるでしょうか。<br>朗読を通して、賢治が残したこの静かで切実な寓話に、そっと耳を傾けてみませんか?</p>
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ナレーター 井本ゆうこ
きくドラ~ラジオドラマで聴く。名作文学~
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